オフィスは「働く場所」だけじゃない?広がり始めた「回復する職場」という考え方
2026/09/30
【企業・社会×睡眠を考える5日間|DAY1】
これまで「オフィス」と聞くと、どんな場所をイメージしていたでしょうか。
仕事をする場所。
会議をする場所。
集中して作業する場所。
もちろん、それがオフィスの大きな役割です。
でも最近、睡眠や休養に関するニュースを追っている中で、少し面白い変化を感じています。
それが、オフィスに「回復する」という役割を持たせる動きです。
東京都も「オフィスで休む」を実証
2026年9月24日、東京都は都内3か所のオフィスビルに期間限定で「東京グリーンビズ・ラウンジ」を開設すると発表しました。
そこで行われるのが、
・緑に囲まれた空間での短時間の仮眠
・スマートフォンから離れるデジタルデトックス
実際に働く人に休息を取ってもらい、その効果を検証する取り組みです。
個人的に面白いと思ったのは、「もっと集中できるオフィスをつくろう」だけではなく、「どう休むか」をオフィス空間の中で考えていること。
これは、働く環境を考えるうえで大きな変化だと思っています。
三菱地所は「リカバリールーム」を拡大
同じような動きは、民間企業でも始まっています。
三菱地所は、企業間でシェアするリカバリールーム「とまり木」の2号店を、10月1日に有楽町で開業します。
「とまり木」では、原則15分という短時間で、パワーナップやマッサージ、ストレッチなどを利用できます。
しかも、単なる休憩スペースではありません。
コンセプトは、「WELL REST, WELL WORK(よく休み、よく働こう)」です。
大手町の1号店から数えると、事業開始から約1年半で利用者は9,000人を超え、契約企業も約20社まで増えたと発表されています。
少し前なら、「仕事中なんだから仕事をするのが当たり前」と思われていたかもしれません。
でも、休むことも仕事のパフォーマンスを支える一部という考え方が、少しずつ形になり始めています。
だからこそ、「仕事中に休む場所」に、企業がお金を払う事例が増えてきています。
「集中・交流・回復」を使い分けるオフィスも
そして、9月28日〜30日には東京・日本橋で、カゴメ、パソナ日本総務部、アサヒ飲料、エステー、USEN WORK WELLの5社によるオフィス体験型イベントも開催されています。
テーマとして掲げられているのが、「集中・交流・回復を使い分ける、新しい空間デザイン」です。
植物、自然音、香り、BGM、飲料など、それぞれの企業が持つものを組み合わせ、五感を通して働く人の状態を整えるオフィス空間を提案しています。
ここでもやはり、「どうすればもっと働けるか」だけではなく、「どうすれば働く人の状態を整えられるか」という発想が入っています。
なぜ「回復する職場」が必要なのか
僕は普段、睡眠についてお伝えしています。
だから、「疲れているなら、夜しっかり寝ればいい」と思われることもあるかもしれません。
もちろん、夜の睡眠は大切です。
でも、人間のコンディションは、夜の睡眠だけでつくられるものではありません。
朝起きてから夜眠るまでの間にも、僕たちは疲労します。
集中し続ける。
人とコミュニケーションを取る。
パソコンを見る。
判断する。
移動する。
身体を使う。
仕事をしていれば、少しずつ疲れていきます。
だからこそ、「夜にまとめて回復する」だけではなく、「日中にも小さく回復する」という視点があってもいいと思っています。
「休む=サボる」ではない
ただ、職場で休むことには、まだ心理的なハードルがあると思います。
昼寝をしていたら、「サボっていると思われないかな」
少し席を離れたら、「仕事していないと思われないかな」
忙しい職場ほど、「休んでいる暇なんてない」
となりやすい。
でも、本当に大切なのは、何時間机に向かっていたかではなく、その時間にどんな状態で仕事ができていたかではないでしょうか。
疲れて集中できないまま30分仕事を続ける。
一度10〜15分休んで、頭を切り替えてから仕事に戻る。
どちらが良いかは仕事内容や状況によって変わりますし、「休めば必ず生産性が上がる」と単純化することもできません。
それでも、休息を「仕事を止める時間」ではなく、「次の仕事に向けて状態を整える時間」と考える。
この考え方は、これからもっと重要になっていくのではないかと思っています。
睡眠改善も「夜」だけを見ない
今回のニュースを見ていて、僕自身の睡眠サポートについても改めて考えました。
睡眠改善というと、
「何時に寝るか」
「何時間眠るか」
「寝る前に何をするか」
など、どうしても夜に注目しがちです。
でも実際には、
朝どう過ごすか。
日中どれくらい身体を動かすか。
いつ休むか。
仕事中にどうリフレッシュするか。
夕方以降をどんな状態で迎えるか。
こうした1日の過ごし方すべてが、睡眠につながっています。
だから僕は、睡眠 → 休養 → 回復 → コンディションまで広げて考えることが大切だと思っています。
これからのオフィスは「働く+回復する」場所へ?
東京都。
三菱地所。
そして複数の企業による共同企画。
ほぼ同じ時期に、別々の場所で「働く人の休息・回復」に関する取り組みが行われています。
もちろん、これだけで「これからすべてのオフィスがこうなる」と言うことはできません。
でも僕は、この動きをとても面白いと感じています。
これまでのオフィスが、「働くための場所」だったとすれば、これからは、
働く。
集中する。
人と交流する。
必要なときには回復する。
そんな、複数の役割を持つ場所になっていくのかもしれません。
そして、これはオフィスだけの話ではないと思っています。
ホテル。
スポーツ施設。
温浴施設。
商業施設。
学校。
街。
様々な場所に、「どうすれば人がより良い状態で過ごせるか」という視点を組み込むことができます。
僕自身もこれから、睡眠そのものを伝えるだけではなく、人が「休み、回復し、また動ける」環境や体験をどうつくるか。
そんなところまで、睡眠の可能性を広げていきたいと思っています。
睡眠は、人生への投資です。
そして、その投資は夜眠っている時間だけではなく、日中にどう休みどう回復するかから始まっているのかもしれません。
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