人手不足の時代、「採用」だけでいい?医療・介護・福祉の人材定着を“睡眠”から考える
2026/09/24
昨今、医療・介護・福祉の人手不足が続いています。
厚生労働省が公表した2025年の雇用動向調査では、「医療・福祉」の離職者数は約120万人。
産業別で最も多い離職者数となりました。
一方で、採用する側も簡単ではありません。
パーソル総合研究所の調査では、医療・福祉業で採用課題として「応募者数が集まらない」と回答した割合は54.8%でした。
人が足りない。
だから採用する。
でも、採用する人もなかなか集まらない。
そうなると、これからますます重要になるのが、「今いる人に、できるだけ長く元気に働いてもらうこと」ではないでしょうか。
「人手不足」が、さらに人手不足を生む
人が足りなくなる。
残った職員の仕事が増える。
身体的・精神的な負担が大きくなる。
疲労が抜けない。
そして、また誰かが辞めてしまう。
こうした循環は、医療・介護・福祉の現場にとって大きな問題です。
厚生労働省も介護分野について、採用しても教育や研修の時間を十分に確保できず、人材が定着しないことで、さらに人手不足が強まるという悪循環の可能性を指摘しています。
また、2026年に行われた介護職員への調査では、転職・退職を考える理由として「精神的な負担」が40%、「身体的な負担」が37%となり、給与の32%を上回りました。
もちろん、人材不足や離職の原因は一つではありません。
給与。
人間関係。
業務量。
勤務体制。
キャリア。
家庭環境。
このように、様々な要因があります。
だから、「睡眠を改善すれば離職がなくなる」なんて単純な話ではありません。
それでも僕は、この問題を考える中で「睡眠」という視点も、もっとあっていいのではないかと思っています。
人手不足の現場ほど、「休むこと」が難しくなる
特に医療・介護・福祉には、一般的なデスクワークとは異なる特徴があります。
夜勤や交代勤務がある。
人の命や生活を預かる。
身体を使う。
常に周囲へ気を配る。
突発的な対応も多い。
そして、人が足りないからといって、「今日は利用者さんへの対応を減らそう」とは簡単にはできません。
人手不足になればなるほど、一人ひとりへの負担が増え、「疲れているけれど休めない」という状況も生まれやすくなります。
だからこそ、「働く時間」だけではなく、その人がちゃんと回復できているかという視点も必要だと思っています。
睡眠は「離職対策」ではなく、働き続けるための土台
ここは僕自身、すごく大切にしたいところです。
睡眠研修を一回すれば、人材が定着するわけではありません。
「ちゃんと寝てください」と職員に伝えるだけでも意味がありません。
むしろ、
今、職員はどれくらい眠れているのか。
疲労は翌朝まで残っていないか。
勤務中に強い眠気を感じていないか。
夜勤や交代勤務によって生活リズムが大きく崩れていないか。
まずは、そうした働く人のコンディションを知ることからだと思っています。
そのうえで、
勤務体制を見直すのか。
休息の取り方を考えるのか。
睡眠について学ぶ機会をつくるのか。
個別にサポートするのか。
必要な取り組みは、その組織によって変わります。
「人を増やす」と「今いる人を大切にする」
これから医療・介護・福祉では、人材確保そのものがさらに重要になります。
厚生労働省は、介護職員について2022年度の約215万人から、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人が必要になると推計しています。
だから当然、「どうやって人を採用するか」は考えなければいけません。
でも、それと同じくらい、「今働いてくれている人が、どうすれば良い状態で働き続けられるか」を考える必要があるのではないでしょうか。
その選択肢の一つとして、僕は「睡眠」や「休養」という視点を広げていきたいと思っています。
睡眠を整えること自体が、ゴールではありません。
働く人が少しでも元気に働ける。
仕事が終わったあとも、自分や家族のための時間を過ごせる。
そして結果として、「ここでもう少し働きたい」と思える職場に繋がっていく。
そんな職場づくりの土台の一つに、睡眠があってもいいと思っています。
人手不足だからこそ、人を集めるだけではなく、今いる人を大切にする。
睡眠は、人生への投資です。
そして、企業にとっては、働く人を大切にするための投資にもなり得るのではないでしょうか。
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