「睡眠スコアが悪い…」その数字、気にしすぎていませんか?“オルソソムニア”という考え方
2026/09/21
「昨日の睡眠スコア、低かったな…」
「深い睡眠が少なかった」
「今日はちゃんと8時間寝ないと」
最近は、スマートウォッチやスマートリング、睡眠アプリなどで、自分の睡眠を簡単に確認できるようになりました。
僕自身、睡眠を可視化できることには大きなメリットがあると思っています。
感覚だけでは分からなかった自分の生活リズムに気づいたり、「最近、睡眠時間が短くなっているな」と振り返ったりするきっかけにもなるからです。
ただ、その数字を気にしすぎることで、逆に睡眠が苦しくなってしまうこともあります。
そこで今回紹介したいのが、「オルソソムニア(Orthosomnia)」という考え方です。
「良い睡眠をとらないと」がプレッシャーになる
オルソソムニアは、睡眠トラッカーのデータなどをもとに、理想的・完璧な睡眠を追い求めすぎる状態を表すために提唱された言葉です。
2017年に研究者らが報告した比較的新しい概念で、現在のところ正式な睡眠障害として確立された診断名ではありません。
でも、この感覚に心当たりがある人はいるのではないでしょうか。
朝起きて、身体はそれほどしんどくない。
自分では「結構眠れたな」と思っている。
ところがスマートウォッチを見ると、「睡眠スコア58点」と表示されている。
すると、
「え、昨日ちゃんと眠れてなかったの?」
「深い睡眠が少なすぎる…」
「今日大丈夫かな?」
と急に不安になる。
そして夜になると、「今日は絶対に良いスコアを出さないと」と意識してしまう。
睡眠を良くするために始めたはずの計測が、いつの間にか睡眠へのプレッシャーになってしまう。
これが、今回考えたいポイントです。
睡眠は「100点を取るもの」ではありません
僕は、ここをすごく伝えたいです。
睡眠はテストではありません。
毎日100点を取る必要もありません。
昨日より睡眠時間が少し短い日もある。
夜中に目が覚める日もある。
深く眠れたと感じる日もあれば、そうではない日もある。
人間なので、毎日まったく同じ睡眠になることの方が不自然です。
それなのに数字が表示されると、80点より90点。90点より100点。と、無意識に「正解」を求めてしまいます。
特に、まじめな人や健康意識の高い人ほど、
「もっと良くしないと」
「ちゃんと眠らないと」
となりやすいかもしれません。
そもそも、睡眠トラッカーの数字は「絶対」ではない
ここも知っておいてほしいところです。
一般向けのウェアラブル端末は、動きや心拍などのセンサー情報とアルゴリズムから睡眠を推定しています。
睡眠時間などを把握する参考にはなりますが、特に睡眠ステージなどは医療機関で行う睡眠検査と同じものではありません。
だから、「深い睡眠が○分だった=自分は全然眠れていない」と決めつける必要はありません。
ましてや、一般向けの睡眠トラッカーだけで睡眠障害を自己診断するものでもありません。
数字はあくまで、自分の睡眠を知るための材料の一つ。
それくらいの距離感がちょうどいいと思っています。
「何点だったか」より「今日どう感じているか」
僕が睡眠について相談を受けるときにも大切にしているのが、日中の状態を見ることです。
何時間眠ったのか
何点だったのか
深い睡眠が何%だったのか
朝起きたときに休めた感覚があるか
日中に強い眠気がないか
集中できているか
疲労感はどうか
普段通り生活できているか
こうした自分自身の感覚や日中の状態も、睡眠を考えるうえで大切です。
朝起きて「今日は結構スッキリしてるな」と思ったのに、アプリを開いて「睡眠スコア52点」と表示された瞬間、「今日は調子悪いのかも…」となってしまったら、少しもったいないですよね。
睡眠の可視化は「答え」ではなく「気づくための道具」
だからといって、睡眠計測は意味がないと言いたいわけではありません。
むしろ僕は、自分の睡眠を可視化することには価値があると思っています。
睡眠時間が少なくなっている
就寝時間がどんどん遅くなっている
休日だけ起床時間が大きくズレている
こうした自分では気づきにくい傾向を知るには、とても便利です。
ただし、数字を良くすることが目的になった瞬間に、少し立ち止まってほしい。
本来の目的は、「睡眠スコア90点を取ること」ではなく、起きている時間をより良い状態で過ごすことではないでしょうか。
睡眠改善も「頑張りすぎない」
睡眠について発信していると、
「○時間寝ないといけない」
「○時までに寝ないといけない」
「寝る前はこれをしてはいけない」
といった情報をたくさん目にします。
もちろん、睡眠を整えるために役立つ知識はあります。
でも、それを全部守ろうとして、「ちゃんと眠らなきゃ」という新しいストレスを作ってしまったら本末転倒です。
睡眠を改善することは大切。
でも、睡眠改善そのものが人生の目的ではありません。
仕事をする
スポーツをする
家族と過ごす
好きなことを楽しむ
その時間をより良い状態で過ごすために、睡眠があります。
だから、睡眠はもっと“うまく付き合うもの”くらいでいい。
僕はそう思っています。
睡眠スコアが悪い日があってもいい
少し眠れない夜があってもいい
一晩の数字だけで一喜一憂するのではなく、少し長い目で自分の睡眠と向き合っていく。
そして、本当に眠れない状態や強い日中の眠気などが続いているのであれば、トラッカーの数字だけで判断せず、医療機関など適切な専門家に相談する。
そんな距離感が大切です。
睡眠は人生への投資です。
だからこそ、睡眠そのものに振り回されるのではなく、その先にある毎日をより良くするために、睡眠を使っていきたいですね。
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睡眠を妨げる不眠の原因に対処
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